自閉スペクトラム症患者に生じている遺伝子突然変異が脳の発達や社会性に異常をもたらす
分子メカニズムを解明―自閉スペクトラム症の治療戦略の開発に期待―

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概要

大阪大学大学院歯学研究科の中澤敬信准教授、同薬学研究科の橋本均教授、国立精神・神経医療研究センターの橋本亮太部長のグループは、自閉症患者から最も多くの突然変異が同定されているものの、その機能がほとんどわかっていない Pogo transposable element with zinc finger domain (POGZ)タンパク質が脳の正常な発達に必要 であることを発見しました。 また、その突然変異によるPOGZの機能低下によって、マウス脳の発達期における神経細胞の発達、および自閉症と関連する社会性行動に障害を与えることを新たに見い出しました。
自閉症の発症の原因は未だ不明な点がほとんどであり、治療薬は存在しないことから、治療戦略の開発が緊急の課題である 現状において、自閉症と関連する脳高次機能異常の分子メカニズムを見い出したことは、精神医学/神経科学の領域において極めて注目される成果です。今後、 自閉症の新たな治療戦略の開発に発展することが期待されます。

なお、本研究成果は、国際的な総合学術雑誌「Nature Communications」の電子版に2月26日(水)(英国時間10時、日本時間19時)に掲載されます。

リリース日

2020年02月19日

掲載紙

Nature Communications

新聞報道

  • 毎日新聞(関西版)「遺伝子変異で自閉症 阪大チーム解明 神経細胞の成長阻害」
    (2020年2月27日 朝刊25頁掲載)
  • 日経産業新聞 「変異」が神経細胞の発達妨げ
    (2020年3月2日 6頁(先端技術面)掲載)

ウェブ報道

  • 毎日新聞オンライン「自閉症と遺伝子突然変異の関係突き止める 阪大研究チーム 治療薬開発に期待」
    (2020年2月26日)
  • 産経新聞オンライン(THE SANKEI NEWS)「自閉症の行動、薬で緩和 遺伝子変異が脳に影響」
    (2020年2月26日)
  • 医療NEWS「自閉症患者に生じるPOGZ遺伝子の突然変異が、病態と関連することを発見ー阪大ほか」
    (2020年2月28日)

TV報道

  • 関西テレビLIVE News α「「自閉スペクトラム症」患者の遺伝子変異が脳発達などに影響 阪大などの研究チームが解明」
    (2020年2月27日)

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